
~私が「自分でいい」と思えた日~
〜就労支援のなかで見つけた、ちいさな自信〜
〜就労支援のなかで見つけた、ちいさな自信〜
「自己肯定感」という言葉を、私は就労支援の現場で初めて耳にしました。
それまでは、聞いたことはあっても、正直なところあまりよくわかりませんでした。
でも、最近になって、少しだけその意味が分かってきたような気がします。
それはきっと、「自分のことを少しだけ好きになれる気持ち」だと思います。
「このままの自分でも、いてもいいんだ」と思える気持ち。
私は、もともと自信がある方ではありませんでした。
何かが得意だったわけでもなく、人と話すのも苦手で、
学生時代も社会に出てからも、「自分なんて…」と感じることが多かったように思います。
そんな私が、就労継続支援B型の事業所に通うようになって、
少しずつ「このままでもいいのかもしれない」と思えるようになってきました。
今回は、そんな私が実際に体験した「自己肯定感が芽生えた瞬間」を、いくつかお話ししたいと思います。
「私が準備した商品、売れたんです」
私は、事業所でいろいろな軽作業を担当しています。
その中でも特に印象に残っているのが、ある日、私が袋に詰めた商品が、販売先で売れていたということをスタッフの方から聞いたときのことです。
「今日、出した分はすぐになくなったんですよ。買った方から『丁寧に入っていてよかった』という声もありました。」
そのとき、私は思わず、
「それ、私が準備したものかもしれません」
と話しました。すると、スタッフの方は笑顔で、
「そうだったんですね。お客さんに喜んでもらえたんですね」
と返してくれました。
誰かにすごいと言われたわけではありません。
でも、「自分がやったこと」が、誰かに届いたような気がして、心がぽっと温かくなりました。
「〇〇さんが、良いって言ってましたよ」
私は、あいさつがあまり得意ではありませんでした。
もともと声が小さくて、タイミングもうまくつかめないので、
「恥ずかしいから言わない方が楽だ」と感じていた時期もありました。
ある日、少しだけ頑張って声を出してみたところ、スタッフの方がこう教えてくれました。
「今朝のあいさつ、すごく良かったって、〇〇さん(別のスタッフ)が言ってましたよ」
その一言は、とても嬉しいものでした。
「見ていてくれた人がいたんだ」という安心感。
そして「良かった」と言ってもらえたことが、自分の中に残っていきました。
それ以来、あいさつをすることが少しずつ怖くなくなりました。
自分でも、「変われたかもしれない」と思えた出来事のひとつです。
「この作業、私に任せてもらえませんか?」
あるとき、作業の準備をしていたスタッフの方に、私は思い切って声をかけました。
「その準備、私に任せてもいいですか?」
それまでは、言われたことだけをこなすだけで、自分から手を挙げるようなことはしてきませんでした。
でも、そのときは「やってみたい」という気持ちが自然と出てきたのです。
スタッフの方は少し驚きながらも、笑顔でこう言ってくれました。
「ありがとう。お願いできますか?」
それがとても嬉しくて、「任されるって、こんなに自信になるんだ」と感じました。
作業を終えたあとも、「自分が関わった」という思いが残って、なんとも言えない充実感がありました。
「できる」よりも、「ここにいていい」と思えること
私は今でも、自分をすごいと思ったことはありません。
作業も、人とのやりとりも、まだ練習中のことばかりです。
でも、毎日出勤して、あいさつをして、
「今日もありがとうございました」と言ってもらえることが、
少しずつ、私の心を支えてくれています。
仕事の成果ではなく、「ここにいてくれてありがとう」と言ってもらえること。
それが、私にとっての大きな支えになっている気がします。
おわりに
私は、いまだに自分に自信があるとは言えません。
でも、支援の現場のなかで「嬉しいな」「安心したな」と思えることが増えてきました。
「このままの自分でも、少しずつ前に進めるかもしれない」
そんなふうに思えるようになったのは、日々の小さなやりとりのおかげです。
もし、これを読んでくださっている方のなかに、
「自分には何もない」と思っている方がいたら、伝えたいです。
「あなたは、そのままでも大丈夫です」
私がそう言ってもらえたように、今度は私が、
誰かにそう伝えられる人になれたらいいなと思っています。
村田 人士
合同会社Izaya 代表。鈴鹿市を中心に障害福祉サービスの展開や、ITを活用した地域支援を行っています。「ほっこりナビ」を通じて、一人ひとりに合った「働く・住む」の選択肢を届けることを目指しています。


