人と話すのが怖かった私が、少しずつ外に出られるようになるまで
コラム

人と話すのが怖かった私が、少しずつ外に出られるようになるまで

2025-04-23T10:43:17村田 人士(むらた ひとし)

昔の私は、外に出ることがとても苦手でした。

昔の私は、外に出ることがとても苦手でした。

人と関わるのも怖くて、誰かに話しかけられるだけで、どう返していいか分からなくなることもありました。

一人でいる方が落ち着くと思っていたし、外の世界はなんとなく、自分には向いていない場所のように感じていたのです。

そんな私が、今では少しずつ、外に出られるようになってきました。

人と話すことも、ほんの少しずつですが、怖くなくなってきました。

今日は、その変化について書いてみたいと思います。

通う場所ができて、少しずつ変わってきました

今の事業所に通い始めるようになったのは、私にとってとても大きなきっかけでした。

初めて見学に行ったときのことは、今でもよく覚えています。

建物の中は静かで、でもどこかあたたかくて、

スタッフの方の声が落ち着いていて、緊張していた私の心が少しずつほどけていくのを感じました。

とはいえ、最初はやっぱり不安でいっぱいでした。

「自分にできる作業はあるのか」「周りの人とうまくやれるのか」

「ちゃんと通い続けられるのか」――そんな思いで胸がいっぱいでした。

通い始めの数日は、家を出る前に何度もため息をつき、

時間ぎりぎりまで「今日はやっぱり休もうかな」と悩んでいたのを覚えています。

でも、事業所に行くと、スタッフの方があたたかく迎えてくれました。

利用者さんたちも、それぞれのペースで作業に取り組んでいて、無理に話しかけてくる人はいませんでした。

「ここは、がんばらなくてもいい場所かもしれない」

そう思えたことが、私の心を少しずつ動かしていきました。

外に出ると、気づくことが増えました

事業所に通うようになって、家の外に出る時間が増えました。

毎日同じ道を歩いていても、不思議といろいろなことに気づくようになります。

季節の変わり目や、道端の草花。

風の匂いや、空の色。

以前の私は、そういうものにあまり興味が持てなかったし、正直なところ気にしていなかったと思います。

でも、今は「今日は空がきれいだな」と思ったり、

「花が咲いてるな」と足を止めて眺めてみたりすることが増えました。

朝、玄関を出て、「今日も行ってみよう」と思えることが、少し誇らしく感じられるようにもなってきました。

小さなやりとりが、自信になっていきました

人と話すことは、今でも得意とは言えません。

でも、事業所の中で、少しずつ小さなやりとりが増えていく中で、

「話しても大丈夫なんだ」と思えるようになってきました。

たとえば、作業中にスタッフの方から

「この部分、すごく丁寧にやってくれて助かりました」

と言ってもらえたとき。

たったひと言でも、自分の存在が認められたような気がして、とても嬉しかったです。

またある日は、他の利用者さんから

「おはようございます」と挨拶されたとき、思わず返せた自分に驚きました。

それがきっかけで、毎朝自分から挨拶するようになったのですが、

続けていくうちに、それが少し楽しみになっていきました。

誰かに話しかけられることも、前より怖くなくなりました。

「ちゃんと返せなかったらどうしよう」と思うことは今でもありますが、

相手が笑ってくれるだけで「話してよかった」と思えるのです。

一人じゃないという実感

ある日、作業の合間に少し体調が悪くなって、座って休んでいたことがありました。

無理にがんばろうとせず、ただ静かに過ごしていたのですが、

スタッフの方がそっとお茶を持ってきてくれて、

「無理しなくて大丈夫ですよ。今日はゆっくりしていきましょう」

と言ってくれました。

その言葉に、私は思わず泣きそうになりました。

以前の私は、少し具合が悪くなると「迷惑をかけてはいけない」と思い、

その場から離れようとしていました。

でもこの日は、「いてもいい」と思えたのです。

そう思えたことが、私にとってとても大きな安心になりました。

おわりに

今でも、外に出るのが怖い日や、人と話すのが億劫な日もあります。

けれど、「今日も行ってみようかな」と思えるようになったこと。

「ここに来てよかったな」と思える時間があること。

それだけで、私は少しずつ変わってきているように感じます。

がんばらなくてもいい場所があること。

自分のペースを認めてもらえる場所があること。

それが、私の心を少しずつあたためてくれました。

そして、今の私は、

「前よりちょっとだけ、自分を好きになれた気がします」

これからも無理せず、少しずつでも前に進んでいけたらと思います。

村田 人士

村田 人士

合同会社Izaya 代表。鈴鹿市を中心に障害福祉サービスの展開や、ITを活用した地域支援を行っています。「ほっこりナビ」を通じて、一人ひとりに合った「働く・住む」の選択肢を届けることを目指しています。

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